何か耳目を集める大きな事件があるたびに、犯人とされる人が発達障害であるとか精神疾患であるなどと取り沙汰されます。
それは、主に刑法上の責任能力を問えるかという問題からそのような報道がなされるのだと思いますし、そのこと自体は非難できないと思います。
花粉症や腰痛などの他の病気と、刑罰が軽減される、あるいは罪を問われない可能性があるという点で違うからです。
精神疾患や発達障害と刑法の関係判例については、私はあまり詳しくはありません。
ですが、自分がそうなので特にそう思うのかも知れませんが、それらは犯罪に対する刑罰に問えるか否かというときに考慮される事柄ではあっても、犯罪の直接的な原因ではないことが大半ではないかと考えています。
それを取り違えてしまうような報道のされ方に対しては、疑問を抱かざるを得ません。
仮に、末期がんでやけになった人が重大な犯罪を行なったとしたら、末期がんの患者の人すべてが犯罪予備軍だと考えることは妥当でしょうか?
がんが犯罪の原因だと考えることは妥当でしょうか?
このように視点を変えて考えれば分かることなのですが、それをしないという思考の省略、短絡的思考が、偏見と差別、スティグマの根本に横たわっていると思います。そしてその奥には無関心がある。
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