自分

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英語を学び始めた頃、人称代名詞に相当する言葉が日本語には沢山あり、それは相手との関係性を重視するという日本人の意識の現れだというようなことを学校で聞いた覚えがあります。

例えばIに該当する言葉だけでもざっとこんな感じです。

日本語の一人称代名詞 - Wikipedia

例えば私自身は普段「私」、稀に「自分」を使っていますが、限りなく無色透明というのか英語のIに近いイメージで使っているつもりです。

たまたま私は女性なので文章でも会話でも「私」で済ませて何ら問題がありませんが、男性だと口語で「俺」を選ぶ人「僕」を選ぶ人、そして「私」を選ぶ人とでは相手に与える印象が違って来るのではないかと思います。

子供の頃にはクラスに自分のことを名前呼びする女の子がいましたが、優しいご両親に育てられた雰囲気で少しうらやましかったことを覚えています。

また、人称代名詞の方言も多様であって、私は関西に来て初めて「お前」という意味で「自分」を使う人がいることを知って驚いたことがあります。初めて聞いたときにはその人自身のことではなくて私のことを指しているとは気付かず何が何だかわからなくなり、とても面食らいました。

私の母は今75歳ですが、自分のことを「あたし」と呼びます。我が強い人が「あたし」を連発するので、話を聞く方は大変疲れます。もしかしたら高知県の方言なのかも知れませんが、祖母は「うち」と言っていたような記憶もあるのでよく分からないままです。

東京下町生まれの伯母も自分のことを「あたし」と言いますが、何となく母とは違っていてニュアンスとしては落語家の人が自分のことをあたしと言っている感じに近いです。

ともあれ、自分を何と呼ぶかということでその人の人柄まで窺い知ることが可能な日本語という言語は、表現力が豊かだと思います。

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