何年か前に、車との接触事故に遭ったことがあります。
自転車で青信号の交差点を横断していたのですが、左折して交差点に進入してきた車があったので、相手も減速すると予測してややスピードを落としてそのまま進んだところ車はそのままのスピードで入って来たため、慌ててブレーキをかけ方向転換をしたのですが間に合わずに接触しました。
運転していた人はその場でぼんやりしていた、脇見運転だったと言って過失を認めましたし、車のスピードはそれほどではなかったのでかすり傷とむちうちで何日か仕事を休んだくらいで済み、保険も下りたことが不幸中の幸いでしたが、問題は警察でした。
むちうちで全身が痛かったので横になっているところに、警察から電話で供述調書を書きに来るように言われ、素直に赴いたところ、担当の警察官が私に質問をしながら供述調書を書き、拇印を押すように言われました。
その質問がまるで犯罪の取調べの尋問のようで、どうしてそんなに急いでいたのかとか、どうして車を認識してもそのまま自転車を漕いでいたのかとか、4月半ばの午後6時頃の事故だったのですがどうして無灯火だったのかなど、畳み掛けるように質問されました。
警察官が書いた供述調書は、無灯火の私が暗闇の中車が止まってくれると勝手に思い込んでそのまま車に向かって突進してぶつかりに行った(笑)かのような内容のもので、印鑑を持って来るように言われたのに拇印を求められ、他になすすべがなかったので押して帰りました(つまり形式上私が書いたことになっています)。
確かに私は相手の車が減速すると「勝手に」予測していたのですが、それは自分の信号が青だったという以外に、左折した車は夕方ラッシュ時の渋滞気味の国道2号線の下りから入って来たことや、他に先行して横断する自転車が何台かあり、それが途切れるのを見送って入って来たと推測したこと、そして歩行者が何人か私と団子状になって横断していたので、相手には自分を含めてその姿が見えているのだと思ったからでした。
無灯火だったのは必要がなかったからで、神戸の4月半ばの午後6時頃は日没前で昼間と変わらないくらい明るく、相手の車を含めその国道を通行していたほとんどの車も点灯していませんでした。警察官は職務上そのことをよく知っている筈です(犯罪捜査は日没後から日の出前までの間は出来ないと刑事訴訟法で定められています)。
ですが警察官の言い分は、私にもわかります。私が保険金を狙ったいわゆる当たり屋ではないという保証はないですし、供述調書は裁判になった時には証拠として用いられるので、念のため私の方の過失も書いておかないと後々問題とされる可能性があるからです。拇印は印鑑とは異なり、確実に私自身がその文書を作成したという証拠になります。
「人を見たら犯罪者と思え」。
おそらくそれが警察官の職務なのでしょう。
交通事故の供述調書には、相手の処罰を求めるかどうかということも記載されます。私は求めないと答えました。
相手のドライバーは、よけ損ねて負傷した私よりもっと犯罪者扱いをされていたに違いないからです。
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