フルーティシプレに関する投稿の続きです。
イヴレス(シャンパーニュ)(イヴサンローラン、1993年)
イヴレスに関しては以前も記事に書いたことがあったと思います。ソフィア・グロスマンが調香した中で唯一と言っていいフルーティシプレですが、シャンパーニュという名称を巡って裁判に負けてイヴレスと名称を変更しました。
- トップ:ピーチ ネクタリン アプリコット キャラウェイ アニス ミント
- ミドル:シナモン ライチ ローズ ローズオイル カーネーション ヴァイオレット アイリス ジャスミン スズラン
- ベース:オークモス アンバー ベンゾイン パチュリ バニラ スティラックス シダー ムスク ココナッツ ベチバー (fragranticaより)
当初の名前、シャンパーニュが似つかわしい香りです。シャンパーニュ地方の葡萄を使い、発泡するワインのことをシャンパーニュと定義していたと思いますが、シャンパンの泡立つ感じと爽やかなアルコールの刺激がうまく表現されていると思います。アニスやミントの効果でしょうか。
ボトルもシャンパンのボトル(100mlの横に平たいフラコンは樽)を模し、キャップはコルクを模しています。
イヴレスはシプレと言われなけれは気づかないほどオークモスの香りは強くなく、とてもフルーティで桃やライチの香りが強いです。とはいえ、今どきのフルーティフローラルのフレグランスとは質が違うというか、どこかで地に足がついているという感じがする香りです。その一方で、付けてしばらくするとパウダリックな香りが感じられ、それが酔いが回った時のふわっとした感じ(改名後の名前はほろ酔いという意味です)を表しているようです。フルーティであっても大人でも十分に身に付けて楽しむことができると思います。
そして当初の名前の通り、パーティなどの楽しい場面で付けるのにふさわしい香りだと思います。
グロスマンが1996年に調香したセリーヌのマジック(フローラルシプレ)という香水があるのですが、イヴレスはそれとよく似ています。マジックの方が後のものだけあってより洗練され角が取れた感じです。イヴレスは荒いというのではないですが、マジックより対象年齢が若い感じがします(画像右がマジックです)。
イヴレスがきっかけで、お酒のような香りがするフレグランスを集めることになりました。ですがイヴレスを超えるものにはまだ巡り会っていません。
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