陰謀論や疑似科学に対して憤りを感じている、というようなことを書きました。
中でも私が最も憤っているのが、心の病気に薬はいらないと発言する医師です。何冊かその類いの書籍に目を通しました。中にはタイトルと異なり、最小限の服薬にしようというような内容のものもありましたが、例としてあがっていた薬を減らして鬱などを克服した人は、親元にいて理解もあり働く必要のない人であったりしました。
鬱になるのは遺伝と環境の相互作用であって、環境調整がうまくいけば服薬せずに寛解する人も中にはいるでしょう。ですが、大半の人は家庭・職場・学校の環境をそうそう簡単には変えられないのではないかと思います。私自身がそうでした。そして、変えることが出来たとしても、新しい環境自体がストレスになる可能性もあります。また、服薬したことのある薬のことしかわかりませんが、少なくとも私には効くものがありました。
オーソドックスな精神医学の本には、鬱病に対しては休養と服薬という治療法(薬は症状を抑える対症療法)があげられていますが、薬は不要とする書籍には、おそらくインパクトのあるタイトルにするためと思いますが、断定的なフレーズが使われていることが多いようです。
環境調整が難しい人が服薬をやめてしまい、症状が悪化したらどう責任を取るのでしょうか。断薬するにしても、離脱症状の可能性もあるので医師の指導に従う必要があるでしょう。ですが、中には精神科医そのものを否定するかのような書籍もあり、それが書店の目立つ位置に並べられていたりします。
私は一患者に過ぎず理系ですらないですが、症例とエビデンスの違いくらいはわかります。症例はあくまで個別の事例であって、薬の効果を測るエビデンスには該当しません。ですので、一緒くたにしてしまうような書き方のものには疑問を抱かざるを得ません。
「うつぬけ」「うつが消える」などという書き方で(「治る」「治す」とは書いていない)医師法をかいくぐっている食事療法や反精神医学のものなどは、論外ではないかと思います。
それは鬱に限らず、発達障害についても同じような状態です。自分で選択することが難しい子供が対象となる分、発達障害の方が罪が重いかも知れません。
それも医師という資格があればこそ、信じる人がいるということなのでしょう。
素人の私は、ここに書いて注意喚起するくらいのことしか出来ないのが残念です。
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