私は香水が好きで沢山集めています。ですが日本の湿度では冬以外の季節には強く甘く重く香り過ぎてしまうのと、毎日入浴する習慣があるのとで、香水好きの人は滅多にいない感じです。体臭のある人が多い欧米人の女性はシグネチャーフレグランスというのか、自分の香りにしている香水がある人が多いのですが、日本ではある香水が流行するとこぞって皆が同じものを付けるのも日本人的だと思います。
バブルの頃には、ボディコンロングヘアのお姉さんたちがディオールのプワゾンを付けていました。80年代にはフロリエンタルな香りが多く作られていて、そのうちの1つがプワゾンです。フロリエンタルがあまり得意ではない私もプワゾンは何故か好きな香りの1つで、ほんのちょっぴりだけ何を付けているかわからない程度に付けるととてもいい香りなのですが、典型的な付け過ぎ注意のフレグランスです。良くも悪くも控え目な香りが売れる日本でどうして流行っていたのか理由がわからない香水なのですが、それがバブルの力だったのかも知れません。あれで香水が嫌いになった人も多かったと思います。どの香水にも言えることなのですが、日本では何を付けているか他人にわかるくらいだと付け過ぎだと思います。香水嫌いの人も多いですが、それは付け過ぎの人に不快な思いをさせられたことが多いからだと思います。
ckワンやckBeなどのユニセックス系やオゾン系が流行ったり、グッチのエンヴィやエルメスのナイルの庭や、フルーティフローラルの香り(フェラガモのインカントチャームやイヴ・サンローランのベビードールが典型)が流行ったりした時期を経て、2010年代にはすれ違う女性がクロエを付けた人ばかりという時期と、香りの強い柔軟剤の臭いをさせた人が多かった時期がありました(柔軟剤の香料は香水に用いるものよりグレードが落ちるので、個人的には香りを売りにしている柔軟剤を使うくらいなら香水を付けた方がましなのではないかと思っています)。そして今は石鹸系の香りの人の中に、時々シャネル系の香り(シャネルの香りはベースが独特なのですぐわかります)をさせた人が混じっている、そんな傾向です。
最近はリニアな香りというのか、以前のようにトップノート・ミドルノート・ラストノートと香りが変化するフレグランスは減って、最初から最後まで同じような香りが続くものが多い印象です。それはおそらく、合成香料が数多く開発されている結果ではないかと思います。安価なフレグランスほど合成香料を多く使うために一本調子に香り、しかもなかなか香りが消えないようなので、それも香水嫌いの人が嫌う理由になっているような印象です。
そういったことからも湿度が高い日本では無難な香りを選ぶ人が多く、結局清潔感というのかデオドラントというのか石鹸やシャンプー・柔軟剤の香りが好かれるのだなと思います。クロエもバラ石鹸のような香りです。店頭でも石鹸系のフレグランスばかり置いてある感じです。私にもかつてソーピーな香りを集めていた時期があって、一通り持っています。
ナチュラルメイクが素顔のように見えることを目指すのと、石鹸系の香りの香水をつけて清潔感を演出するのとはよく似た感じです。
石鹸系の香りというのは、結局ムスクと花やハーブの香り、場合によってはそれにアルデヒドが加わっているということになると思いますが、無難なようでも実は油断して付け過ぎると自分が酔う香りの典型です。特に乗り物に乗る時には、注意しないと気分が悪くなったりするのではないかと思います。
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