欲しがることは苦しい。とても苦しい。
かつて読んだ本の中にそのような言葉がありました。だから私は何も欲しがらない、というような文章が続いていたと記憶しています。外国人作家の小説の翻訳だったのですが、英語のwantには欠乏という意味もありますので英語圏の人にはうまく通じる言い回しなのかも知れません。
私も今は何も欲しいと思わない状態に近いのですが、もちろん空腹になれば何か食べたいと思いますし、夜になったら眠りたいと思いますので、完全に何もいらないという訳ではありません。
何かを欲しいと思うということはつまり現状に満足していないということなのですが、私自身は現状に満足している訳でも不満な訳でもなく、何かに執着することがバカらしく思えるだけ、というような感じです。
冒頭の本を読んでからもう20年以上経ちました。鬱がひどい時に堪えて仕事をする苦しみに比べたら、欲しがるということの苦しさはたかが知れているのではないかと思うようになりましたが、今改めて考えてみると、その時には苦しいというよりは楽になりたいと思っていた(楽な状態を欲しがっていた)のかも知れません。
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