決算

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物心つかないうちに伯父夫婦と両親の零細企業の利益分配をめぐる無言の戦いの中に放り込まれた私ですが、その跡継ぎにするという思惑が彼らにあったことも感じていました。父も母も伯父も伯母も、私を利用していたと言えます。

伯父は私の何が気に入ったのかというと、女の子なのに負けず嫌いで男性的なものの考え方をしていたところではないかと思います。それと同時にとても大人しい子供だったので、昭和一桁生まれの嫌うでしゃばりな女にもならなかったところでしょうか。要するに、私は長男でもあり長女でもあるという都合のいい存在でした。

傍目からは、それなりに成功している経営者の伯父夫婦にかわいがられていて恵まれているように見えたと思います。

ですが、会社の利益をめぐって伯父夫婦と両親は常にぎくしゃくして苛立っており、私にとってはまるで地雷原を歩かされているような毎日でした。

例えば、伯父から父の悪口を聞かされたとしても、帰宅してからそのことを話すことは出来ません。常に何か口に出してはいけないことがある。そんなことの積み重ねはストレスの元凶だと思いますが、記憶にある限り生まれてからずっとそんな状況にあったので、それが普通だと思って育ちました。

お前は手がかからないいい子だったと母は今でも言いますが、伯母に嫌われている母の代役をしていた部分もありました。

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