少し前に、失敗が許されない社会は硬直して壊死するというようなことを書きましたが、補足しようと思います。
例えば新卒市場での失敗を許さないのは、社会にそれだけ余裕がないからなのかも知れません。
ですが、人間には成功から学ぶ人と失敗から学ぶ人がいるような気がします。本当はどちらからも学ぶことはあるのではないかと思いますが、要するに痛い思いをしないとわからない人は結構いて、私もそのタイプだと思います。逆に、エリートといわれる人は成功から学ぶ人で、それ故に逆境には弱いのかも知れません。
幸田文がある日父の幸田露伴にふと、お前は強情で痛い思いをしないとわからないから、これからたくさん痛い思いをするだろう、かわいそうにというようなことを言われたとどこかに書いていたと思いますが、それを読んでまるで自分のことを言われているような気持ちになりました。
私と同じ時期に鬱病になった同僚が、いつもは楽しく明るい優しい人なのですが、鬱の話になったときに珍しく断固とした強い口調、低い声で「転んでもただでは起きないから!」と言った言葉も思い出します。
失敗したとしても、運悪く病気や事故が身に降りかかったとしても、何度でもそこから学べばいいのではないかと思います。
失敗をしないようリスクを回避して生きることも、もちろんその人の選択です。ですが、もしもそのような人ばかりで社会が構成されていたら、何一つ発展はしないのではないかと思います。
Comments