収支

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伯父は2年前に使い切れなかった財産を残して亡くなり、伯母と両親には生きている間は困らない程度の遺産が渡りました。

50年近く彼らに挟まれて何をされても何を言われても辛抱し、時には間を取り持った私ですが、それは4人がお金をめぐって争うのを見たくない一心でのことでした。

そもそも問題のお金の大部分は零細企業が生んだものですが、営業をしていた父は自分がもたらしたものだと考え、社長をしていた伯父は自分のものだと考えていたのです。

ですが、伯父が遺言を書き換えて私にも財産を残そうとしたこと(おそらく税金対策)がきっかけで、残る3人が私のそうした努力は一顧だにせずむしろ私が財産を狙っているかのように思っていることがわかったので、何もかもが馬鹿らしくなりました。

それまでは私なりに彼らのことを思っていたのですが、向こうはそうではなかったのです。

私が東京に帰らないのは、彼らが私を遠ざけているという理由もありました。鬱病になった時にも彼らには知らせませんでした。責められるばかりで意味がないからです。

今の私は単なる雇われ人ですが、雇われている気楽さをしみじみ感じています。子供(いませんが)を人質に差し出す必要もなく、ただ言われたことをして、雇う側の期待を少しだけ上回っていさえすればいいのですから。

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