彷彿

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レールデュタン(l’air de temps)という名の香水があります。時代の空気というフランス語で、カーネーションの爽やかでスパイシーな香りがします。

個人的にはそれほど好きな香りではないのですが、ネーミングが素晴らしいと思います。

私が古い、時代遅れとも言える香水を何故集めるのかというと、当時の人の姿が香りとともにふわっと漂って来る感じがするということも理由の一つです。例えば昔の女性はとても奥床しかったということを頭で理解していても実感することは難しいのですが、当時の女性が使っていた香りを嗅ぐと、ありありとそれが脳裏に浮かんだりします。今の女性が失った「しとやかさ」「恥じらい」のようなものが昔の香水から感じられる、とでも言えるでしょうか。

私が持っている香水が作られた年代は1910年代から今に至るまで様々ですが、例えば80年代の香りはどこかしらバブルっぽいですし、70年代の香りはどこかしらウーマンリブ(死語)っぽかったりヒッピー(死語)っぽかったりします。

レールデュタンは1948年に作られ、第二次世界大戦後の解放的な雰囲気を表しているそうです。

そして今作られている香りは、今の空気を閉じ込めています。

未来の人が今のフレグランスを嗅いだとしたら、何を感じるのかということも考えます。

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