転換

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結婚相手については、幸い抗がん剤が奏功していて自宅療養できています。そして今すぐにどうにかなってしまうという病状ではない様子なので、しばらくは自分の気分転換を兼ねて軽い話題で書いていこうと思います。

先日部屋を整理していたら、新卒の頃に使ったアイシャドウパレットや香水が出てきました。30年近く前のものです。

当時の私は薄給のうえ給料の半分が家賃に消えていたので、スーツ(当時はオフィスカジュアルという概念もなくて、職場では仕方なくスーツを着ていました)は安価なものを何着かローテーションしていたのですが、何故か靴とアイシャドウと香水にはなけなしのお金を奮発していました。

今のようにドラッグストアやネットで何もかも安く買える便利な時代ではなく、特に香水はデパートで買うくらいしか入手する方法がありませんでした。ですがそんなお金の余裕はとてもなかったので、就職してしばらく経った頃上野のアメ横で輸入品を比較的安価で買える化粧品店を偶然見つけ、それからはいつもそこで化粧品や香水を買っていました。

そこで購入した香水と一緒にしまい込んであったアイシャドウパレット(ディオールのサンククルールで、後継品は今でも販売されていていくつか持っています)は干からびてしまっていましたが、大切に使っていたことを思い出しました。予算の制約が大きかったので、購入する品は厳選というのかひどく真剣に選んでいたことも思い出しました。

香水はほとんど変質しておらず、当時とあまり変わらない香りがします。出てきたのはバルマンのヴァンヴェールとイヴォワール、エルメスのカレーシュとアマゾン、ジバンシイのオードジバンシイなどで、どれもトワレで小さな30mlのボトルです。薄給のくせに、法律事務所の一事務員に過ぎないくせに、香水はそれ以外にもいくつか持っていて日替わりで付けていました。

シャドウの色や香水は今現在の自分でも選択しそうなもので、当時から私は私というのか人の好みは変わらないものだとわかりました。また、当時に比べたら今のアイシャドウはスーパーで手軽に購入できるものであっても、発色も粉質も比べ物にならないほど進化していることも再確認しました。

お金もなかったですし、未来の希望もなく心細い生活だったのですが、貧しいなりに何とかなっていて、お金がないこと自体はそれほど不満に思うこともなく過ごしていたことも、思い出しました。

インターネットがまだ発達していなかったので、裕福な人の生活の様子を垣間見たりすることもなく、雑誌や書籍以外に商品の情報の仕入れ先がなかったからかも知れません。

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