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モーツァルトの作品の中では、声楽曲が特に好きです。宗教曲もいいですし、オペラも歌曲もいいと思います。もしかすると、全ての作品の中で最もモーツァルトらしさがあるのはオペラではないかと思っています。

彼が残したオペラのうち有名なものは4曲あり、いずれも音楽的に甲乙つけがたい傑作です。どれも上演に2〜3時間かかるにも関わらず、細部に至るまで統一感がある点で他の作曲家とは一線を画しています。

最もよく上演され、人気もあるのが「フィガロの結婚」、お伽話のように親しみやすいのは「魔笛」、ストーリーが分かりやすいのは「ドン・ジョヴァンニ」、洗練されているのが「コジ・ファン・トゥッテ」だと思います。

最近のオペラは演出として現代という設定で上演されることが多いですが、どんな作曲家のものよりもモーツァルトのオペラは違和感が少ない気がします。それは、登場人物に複雑な思いを歌わせることに成功しているからかも知れません。

有名なアリアはいずれも複雑な気持ちを歌うものですが、特に、「ドン・ジョヴァンニ」ではドンナ・エルヴィーラのアリア「あの人でなしは私を欺き」、「コジ・ファン・トゥッテ」ではフィオルデリージのアリア「岩のように動かず」「どうか許していとしい恋人」は、歌唱技術とともに歌手の表現力が最大限に試されるのではないかと思います。憎しみと哀れみと愛情が入り混じる心境や、同じ人物の怒り・脆さと後悔・懺悔を歌い分けるのはとても難しいことでしょう。

メッゾソプラノでありながら両方の役を歌った人に、チェチーリア・バルトリがいます。バルトリはおそらく今世界で最も評価の高い女性歌手だと思いますが、素晴らしい表現力でこれらのアリアを歌っている映像作品があります。

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」「コジ・ファン・トゥッテ」(4枚組) [DVD]

動画がYouTubeにもあがっていますが、著作権法違反のものかも知れません。しばらくしたらリンクを消します。

バルトリについては、また機会があったら記事を書きたいと思っています。