トランプ大統領のツイッターアカウントが停止されたそうです。私自身は共和党支持でも民主党支持でもないというのかそもそもアメリカ国民の問題ですが、任期切れが近いとはいえ現職アメリカ大統領のSNSアカウントを一企業が停止するということは穏やかではありません。
それで思い出したのが、フェイスブックが仮想通貨を発行するということが以前報道されていたということです(今調べたところまだ準備中のようです)。
通貨の発行にしても言論の検閲にしても、もともとは国がする行為だったのですが、今は巨大企業がするようになったというのか、それを隠さなくなったとでも言えそうです。企業や団体がロビー活動をして自分に有利な制度を作っていく、ということはアメリカに限らず日本でも行われていますが、ロビー活動のような間接的な手段でなくて直接的に社会を支配し始めたのでしょう。
何がそのようなモンスターを作ったかというと、情報とマネーです。情報とマネーの力が集約されて国家をしのぐようになった。どちらも国境を超えるものだからでしょう。
貴族の支配に抵抗して市民革命が起こったのですが、企業の支配に対しても同じことが起こるのかどうかは私にはわかりません。
ずっと以前から私は統治の正統性について考えていたのですが、民主主義であろうと独裁政治であろうと、結局のところそれは後から自分達の支配は正統なものだと言った者勝ち、というより他はないような印象を受けています。勝てば官軍。
一部が多数を支配する口実が正統性であり、正しさであり、正義。
昨日書いたように、金銭も、権力も、権威も、自己目的化すると腐敗します。
そして、人間の歴史上正義という概念ほどそのために濫用されて来たものもないのではないか、と新型コロナやトランプ大統領のアカウントの件でぼんやり考えています。
それにしても、世の中の人はパワーというのか支配というのか、自分以外の誰かを思い通りに動かすことがことのほかお好きなのだなと感じます。
問題はパワーを使って何をするかです。
無人島の天子とならば涼しかろ 愚かければ独りすゞしくおはします 能もなき教師とならんあら涼し 漱石
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