以前にも書いたのですが、おそらく脳には生まれてからの経験をすべて記憶してあって、それを忘れてしまうのは取り出す方法を失ってしまうからではないかと思います。
そうしておかないと、思い出す必要のないことを思い出すことによって日常生活にひどく支障が出そうです。コーヒーを飲むたびにこれまで飲んだコーヒーの味や飲んだシチュエーションをすべて思い出していたら、収拾がつかなくなります。
ベンゾジアゼピンの離脱症状でその抑制が取れた時には多くの忘れていた記憶が蘇りましたが、その後しばらくすると一部を除いてもう思い出せなくなっていました。忘れないといけないのでしょう。
その記憶は、何というのか1つ1つが断片的にその時の自分の感覚と意識が保存してあるパッケージのようなものでした。映画フィルムの一コマのような感じでしょうか。覚えておこうと意識して記憶したものとは違っているようです。
私は大麻やLSDなどには関心はないのですが、もしかしたら抑制を外すというドラッグにはそのような効果もあるのかも知れません。
いずれにしても、長い間忘れていたことがふと思い出されるのは何かの刺激を受けた結果なのでしょう。
鬱が一番酷かった頃の記憶はほとんどないのですが、それは取り出せなくなっているのではなくて、鬱のせいで脳の機能が低下して記憶自体が出来なくなっていたからのような気がします。
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