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昨日の村上春樹についての記事の続きです。

私は特に村上の小説が好きでも嫌いでもありませんが、独特の生硬な文体や小道具・ディテールへの消費社会的こだわり、主人公の他者への関わり方と全体の本質的なモノローグ性などが気になる人はいるかも知れません。好きな人は、そこが好きなのでしょう。

今は日本で最も書籍が売れる小説家の一人ですが、実は彼の作品は読者を選ぶものではないかと思います。ベストセラーだからとりあえず手に取ってみたという人に肩透かしを食わせるところがあり、受け手によっては読んだ後に何も残らない印象を受けるようです。それは、昨日書いたようにポジではなくネガであって、何を描いているかではなく何が描かれていないかがポイントだからではないかと思います。

熱心な読者ではない私にとっても、彼の表現しようとすることが時として謎なので、謎解きの意味で気付けば村上春樹に関する評論のうち主だったものには目を通していました。その中で最も的確な批判だと思ったものは、平山瑞穂『愛ゆえの反ハルキスト宣言』でした。

それはともあれ、批判はあれど村上作品に魅力がないわけではありません。最もいいと思った作品をあげるとするなら、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』でしょうか。

ノーベル文学賞については、獲得するかどうかは今の私にはわかりません。各国で翻訳されていることが示すように、いくつかの作品には世界に共通する普遍性はあると思います。

ただ1つ気がかりなのは、最近筆力が衰えて来たように見受けられることです。私は彼に「欠落」を追求して貰いたいと思っているのですが、何となくそれはあまり問題視されているようには感じられなくなりました。

ですが、もしかしたら「欠落」は単なる副産物であって、彼が本当に書きたいモチーフではなかっただけなのかも知れません。いずれにしてもとてもストイックな人のようなので、これからもっといい作品が世に出ることを期待しています。

 

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