贈り物

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いわゆる「毒になる親」というものが一般的に認知されるようになってから、ずいぶん経ちました。

自分という存在そのものを否定される、そんな環境で育った人の心の痛みは経験のない人には計り知れないものがあると思います。

私には自分の経験くらいしか書けることはありませんが、可能ならば親と物理的に距離を置くことで、結果的に精神的距離を大きくすることができると思います。

ですが、経済的な事情などがそれを許さないこともあるでしょう。そんな場合には、精神的に距離を置くしかない。

精神的に距離を置くというのは、逃げるというのではなくて(逃げることが必要な場合ももちろんありますが、それとは別に)、心の中で親との関係性と徹底的に向き合ってそれを消化したうえで関係を手放すということなのではないかと思います。その過程が一番辛いかも知れません。

時間はかかるかも知れませんが、気長にその痛みと向き合う他はないような気がしています。悲しみを再体験。それがどれほど苦しいか。どんなに理不尽か。

その過程で自己嫌悪のあまり自分や誰かを追い詰めたり、罪悪感に悩まされたりしてしまうかも知れませんが、それらは親から投影されたものなのです。

ゆっくりと向き合って、慎重にそれらのネガティブな感情を取り除く。ときに逆行してしまったりもします。

その辛さの果てにあるものは、忘却。

意識して忘れようとしても、忘れられるはずはありません。ですが、人の心には回復力があります。時間はかかっても、気付けば親のことはすっかり忘れて過ごしていたというような時に初めて自分自身、自分の感情というものを取り戻したことがわかります。

今毒親のために悲しんでいる人、苦しんでいる人は、それほどまでに悲しみ、苦しむことができる自分を許し、愛してください。親がそうしなかった分だけそうしてください。

毒親は許さなくていいです。

許さないまま忘れてしまうことが、「自分」という名の自分自身への最大の贈り物。

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